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2014-02-12

少年H

★★★★

鑑賞No:02479
製作:2013年/日本/122分
監督:降旗康男
出演:水谷豊/伊藤蘭/吉岡竜輝/花田優里音


昭和初期の神戸。名前のイニシャルから「H(エッチ)」と呼ばれる少年・肇は、好奇心と正義感が強く、厳しい軍事統制下で誰もが口をつぐむ中でも、おかしなことには疑問を呈していく。Hは仕立て屋を営む父とクリスチャンの母に見守られ成長するが、やがて戦況は悪化し、神戸の町は大空襲に見舞われて・・・・。


舞台美術家でエッセイストの妹尾河童の自伝的小説の映画化。水谷豊と伊藤蘭夫婦の共演が話題となったが、何よりも肇役を演じた少年の名演が光った。あと驚くべきは当時の背景を再現したCG技術。全く違和感なく戦中の様子を再現しており、もはやこの技術があれば、どんな時代でもどんな背景でも作り出せるので映画化できないものはないだろうと思わせた。ストーリーは、太平洋戦争に突入し、日本国中が狂気に向かって進む中、その時代に翻弄される家族を描いている。その中で、今となっては当たり前のことが戦争中は否定されるが、少年Hは周りに流されず純粋に考え、間違っていると思うと平気で口に出す。大人や友人たちは慌てるが、観ている私たちはその通りだと頷いてしまう。戦後、手に入れた白米を、母親が隣の家族や行き倒れの人に分け与えようとするときもそうだ。一見、少年はいやらしい人間のように思えるが、あの状況下にあって、人間の本性を正々堂々とさらけ出した、いいシーンというか、本音のシーンだ。また、戦争中に狂気に走っていた人の、戦後の態度の豹変ぶりも興味深い。色々と見どころの多い作品である。





  1. 邦画-し